2018年12月30日(日)、WBCバンタム級暫定王座決定戦
井上 拓真(大橋) vs タサーナ・サラパット(タイ)の試合が行われます。
会場は東京、大田区総合体育館。
この試合の模様はフジテレビ系列で30日7:00から全国に生中継される予定です。
試合結果
〇井上 拓真(大橋) 判定3-0 タサーナ・サラパット(タイ)×
※117-111 × 3
序盤1、2ラウンドまではジャブもそこそこにパンチを強振してくるサラパットに対し、切れの良い動きを見せる拓真選手のカウンターが冴え、あわやKOという場面も作ります。
3Rになるとサラパットが拓真選手の動きを止めようと、前に出ながら執拗にボディーを攻め立ててきます。
ラウンドが進むごとにプレッシャーを強めるサラパットに対し、井上選手も横に回ってパンチを上に集めますが、プレッシャーに押し負け体が流れてしまい、決定的なダメージを与えるに至りません。
中盤はポイントでも苦しいかと思われましたが、8ラウンドを終えて井上選手がリード。
終盤は井上選手も盛り返し、序盤のような切れの良い動きで鋭いカウンターを見せ、ポイントを獲ります。
12R、サラパットのクリーンショットを何発かもらい拓真選手がよろける場面もありましたが、何とか逃げ切り試合は終了。
サラパットはかなり打たれ強い選手でしたね。
苦しい試合内容でしたが、3-0の判定で井上拓真選手が勝利をおさめ、WBCバンタム級暫定タイトルを獲得しました。
これで来年1月19日の正規王座戦の勝者への挑戦が決まりました(恐らくルーシー・ウォーレンでしょう)。
来年は拓真選手の更なる飛躍を期待したいです。
試合後のコメント
井上 拓真選手のコメント
>勝利のコールを聞いて
「最高です。みなさんの声援のおかげで最後まで踏ん張ることができました」
>結果は判定だったが
「1回でインパクトある試合を狙いすぎてズルズルいってしまった」
>怪我を経て2年ぶりの世界戦となったが
「悔しい思いもあり、すごくへこみました。ただ今思えば、この2年間はすごくいい経験をした」
>兄の直哉選手と比較されることが多いが
「それはしようがない。多分、ナオ(尚弥)がいなかったらボクシングをやっていないし。途中でナオが辞めていたら、自分も続けていたかどうか…」
>試合内容について
「こんな内容じゃナオに並んだとは言えない。これから並べるように精進していきたいです。まだまだ暫定。正規のチャンピオンじゃないので喜んでいられない」
(日刊スポーツ)
タサーナ・サラパット選手のコメント
>井上選手の印象は?
「いい選手。逃げるのも大変うまかった」
>判定では差がついたが
「できることを全てやった。楽しむことはできた」
(サンスポ)
[2018-12-29]計量の結果 ※バンタム級リミット118lbs(53.5kg)
両者ともにリミット以下で計量パス
井上 拓真 | 117.94 lbs(53.5 kg) |
---|---|
タサーナ・サラパット | 117.94 lbs(53.5 kg) |
※1kg=2.20462ポンド、1ポンド=0.453592kg
あすトリプル世界戦 6選手全員計量クリア
伊藤雅雪、井上拓真、拳四朗が好調アピール https://t.co/QVDGb66LNG pic.twitter.com/QXkyw2FWiy— ボクシングビート (@beat_macc) 2018年12月29日
この試合のオッズ
井上 拓真 | タサーナ・サラパット | 引分け |
---|---|---|
1.12 | 5.5 | 21.0 |
参照:betfair.com
やはり拓真選手が人気です。
ボクシングのオッズの表記法【代表的な3つを解説】
よくボクシングニュースで海外での試合のオッズが発表されることがありますよね。 「オッズ 11対2でA選手有利」とか、 「B選手につけられたオッズは1.62倍」といったように。 今回はこのオッズの見方を ...
[2018-12-22]12月22日に予定さ入れていた王座決定戦が延期に
22日に予定されていた同級1位のノルダン・ウバリ(フランス)と同級3位ルーシー・ウォーレン(米国)による王座決定戦が来年1月19日のパッキャオvsブローナーのアンダーカードに変更となりました。
この延期により井上 拓真 vs タサーナ・サラパットの試合が正規王座戦に繰り上げになるという話もありましたが、どうもそうはならないようですね。
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Rau'shee Warren prochain adversaire de @nordineoubaali pour le titre vacant WBC ! @Ali_Oubaali pic.twitter.com/FGpRb00MJ9
— Le retour de BOXE Anglaise News (@RetourBoxe) 2018年12月25日
井上 拓真選手のコメント
[2018-12-29]前日計量後
「目の前にWBCのベルトがあるので気持ちが高ぶっていて。2日後の試合が楽しみです」
どんな試合にしたい?
「ナオ(兄尚弥)以上のインパクトを残したいというのもありますけど、勝ちに徹し、インパクトを残せたらいい」
世界王座を獲得すれば国内では亀田兄弟以来、日本2例目の兄弟王者となる
「大一番に勝つことが大事。兄の尚弥だけでなく、弟の拓真もいるんだということを全国に見せつけたい」
(日刊スポーツ)
[2018-12-14]和気慎吾選手とのスパーリングを終え
「やりたいことができている。収穫はありますね。あとは体調管理に気をつけたい」
(日刊スポーツ)
[2018-12-7]長身のサウスポー選手とのスパーリングを終え
「余裕を持ち、冷静にやることを意識しました。普通にできたと思います。良い感じに仕上がっていますね」
(日刊スポーツ)
[2018-11-26]岩佐亮祐選手との2度目のスパーリングを終え
「中間距離で自分のやりたいことができた」
「自分の距離で戦うことを意識した。ペッチよりも岩佐選手の方がうまいですし、手応えがありました」
(日刊スポーツ)
[2018-11-23]岩佐亮祐選手とのスパーリングを終え
「今日はいつも通り、しっかりとやりたいことはできました」
(日刊スポーツ)
[2018-11-12]3泊4日の熱海合宿中
「気合が入り過ぎてケガをしてもいけないので、いつも通りにやりたい。1発で世界王者になりたいので」
(日刊スポーツ)
[2018-11-6]世界挑戦発表会見
「まず世界王者になることが目標。兄弟で4団体制覇はさらに大きな夢。かなえるために必ず勝ちたいと思います」
(日刊スポーツ)>2年越しの世界戦が決まり
「悔しい思いもあり、やっと決まったという思い。この2年でキャリアを積み、良いタイミング。必ず取れる自信がある」
>背の高いサウスポー相手だが
「1発で取りたい。今の自分は兄には、ほど遠く、下積み。ボクサーは世界王者になってからがスタート」
>兄はWBSSで準決勝に進出したが
「まず世界王者になることが小さい頃からの夢。兄弟で4団体制覇はさらに大きな夢。夢をかなえるために必ず勝ちたい」
(日刊スポーツ)
タサーナ・サラパット選手のコメント
[2018-12-26]公開練習後
>世界初挑戦を迎えて
「どう闘うかは当日見てほしい。ファンに感動してもらえるように全力で闘う」
>得意パンチは?
「いろいろなパンチを出せるが、得意パンチはないです」
>勝算は?
「試合に向けて2カ月間、集中的に練習してきた。勝つ可能性は50%。井上選手は強いから」
>井上拓の映像は一度見ただけというが
「リングに上がれば、それぞれ試合は違う」
(サンスポ、日刊スポーツ)
今日は井上拓真選手の対戦相手
ペッチ・CPフレッシュマート選手の公開練習!
48戦全勝という驚異の戦績を持つ長身サウスポーです!!
“モンスターの弟”初の世界挑戦まであと4日!! pic.twitter.com/rjOYafX8Yt— FUJI BOXING (フジボクシング) (@fujitv_boxing) 2018年12月26日
試合の見どころ
WBSバンタム級4位の井上拓真選手が暫定王座決定戦に挑みます。
対戦相手は、タイのタサーナ・サラパット。ランキング2位の選手です。
この試合の勝者が、来年1月19日に予定されている、ランキング1位のノルディ・ウバーニ(フランス) と ランキング3位のルーシー・ウォーレン(アメリカ)で行われる王座決定戦の勝者に指名挑戦者として挑戦することが決まっています。
井上拓真選手は、2年前の年末にも世界挑戦のチャンスがありましたが、練習中に負った右拳のケガで断念。
半年後に復帰すると国内で3連勝。再び世界タイトルへの挑戦が見えてきました。
前回の試合ではベテランでタフなヤップと対戦し、終始ペースを渡さず判定勝利。ディフェンス面でも安定感を見せました。
一方のタサーナ・サラパットは、25歳ながらこれまで48戦を戦い無敗の選手です。
また、33KOしており、KO率69%のハードパンチャーです。
身長・リーチは公表されていませんが、過去の映像を見ると身長は170cm~175cmくらいでしょうか。
井上拓真選手より5cm以上のアドバンテージがありそうです。
攻撃スタイルはファイター型で、べた足でのっしのっしと前に出てプレッシャーをかけ、長いリーチを生かした力強いジャブで相手のガードを崩し、コンビネーションにつなげるのが攻撃パターンです。
パンチ力もあり、どことなくゲンナディー・ゴロフキンを思わせるようなファイトスタイルですね。
ディフェンス面では、リーチが長いので、ガードするとボディーまですっぽり覆われ、パンチを当てづらそうです。
また、ジャブのカウンターが強く、接近戦に持ち込むのも苦労するかもしれません。
ただし、サラパットはこれまでフィリピン人選手二人から試合中に2度のダウンを奪われています。
いずれもスピードがあり、サラパットのジャブにひるまず前に出てくる選手でした。
井上選手のフットワークとスピードがあれば、攻略できるのでは、と思います。
この試合に勝利して、来年の正規タイトル戦につなげてほしいですね。
両選手プロフィール
タサーナ・サラパット
- 名前:Tasana Salapat
- 出身地:タイ
- 年齢:25歳
- ニックネーム:ペッチ・ソー・チッパッタナ/CPフレッシュマ(Petch Sor Chitpattana/CP Freshma)
- プロデビュー:2011年3月31日
- 身長:167.7cm
- 戦績:48戦、48勝(33KO)0敗(0KO)
- KO率:69%
- スタイル:サウスポー
(※画像はBoxRecから引用)
【ボクシング】井上拓真の対戦相手が“変わった”!?(東スポWeb) - Yahoo!ニュース https://t.co/X10mbsXubU @YahooNewsTopics
— boxingアンテナ (@boxing_antena) 2018年12月29日
井上 拓真選手の過去試合動画
[2018年9月11日] vs マーク・ジョン・ヤップ(フィリピン)戦
好調のヤップに文句のない判定勝利を飾り、暫定王座戦が決まった。
[2016年9月4日] vs フロイラン・サウダール(フィリピン)戦
拓真選手は1Rにサウダールの強烈なワンツーをもらってダウンを奪われるものの、その後立て直して判定勝ち。世界タイトル挑戦の切符をつかみかけたが怪我で断念。
タサーナ・サラパット 選手の過去試合動画
[2016年8月26日] vs ジョン・レイ・ラウザ(フィリピン)戦
※2Rサラパットはラウザからダウンを奪うものの、ラウンド終盤にロープ際でラウザの左のカウンターをもらいダウンを奪い返される。
[2016年5月27日] WBCユース バンタム級タイトルマッチ vs ユージン・ラゴス(フィリピン)戦
2018年末ボクシング世界タイトルマッチまとめ
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