2018年12月31日(月)、IBF世界フライ級タイトルマッチ
モルティ・ムザラネ(南アフリカ) vs 坂本 真宏(六島)の試合が行われます。
会場はウィンパレス・コタイ(中国、マカオ)
この試合を含むイベントはTBS系列で生中継される予定ですが、この試合はVTRになるかもしれません。
試合結果
〇モルティ・ムザラネ(南アフリカ) 10RTKO 坂本 真宏(六島)×
※100-90、99-91、98-92
チャンピオン・ムラザネの強打に坂本選手の右目がふさがれ、ドクターストップでTKO負けとなってしまいました。
モルティ・ムザラネが10ラウンドTKOで勝利し、IBF世界フライ級タイトル初防衛に成功しました。
試合後のコメント
モルティ・ムザラネ選手のコメント
>坂本選手について
「彼はいいパンチを持っている。いい闘いをした」
>今後の目標は?
「まずはこの勝利を喜びたい。どうなるか、見てみよう」
(サンスポ)
坂本 真宏選手のコメント
>チャンピオンムラザネの印象は?
「右のフルのパンチより、左のジャブが思ったより強かった。ブロックの上からでも目が腫れてしまった」
>敗戦を受けて
「応援してもらったたくさんの人に申し訳ない。悔しい気持ちでいっぱいです」
>今の心境は?
「まだ自分の中で整理できていない。今は失敗したということしか頭にない」
(サンスポ、日刊スポーツ)
前日計量の結果 ※フライ級リミット112lbs(50.8kg)
両者ともにリミット以下で計量パス
モルティ・ムザラネ | 110.23 lbs(50.5 kg) |
---|---|
坂本 真宏 | 110.23 lbs(50.5 kg) |
※1kg=2.20462ポンド、1ポンド=0.453592kg
坂本真宏が計量パス、慣れぬ「人生初メンチ」は失敗(日刊スポーツ)
この試合のオッズ
モルティ・ムザラネ | 坂本 真宏 |
---|---|
1.5 | 3 |
計量の様子から両者のコンディションを見定めたのか、試合前日になって以前のオッズ「チャンピオン1.4、挑戦者3.25」から差が縮まってきました。
挑戦者坂本選手の人気が上がっています。
ボクシングのオッズの表記法【代表的な3つを解説】
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坂本 真宏選手のコメント
[2018-12-18]公開練習後
調子は?
「体調はすこぶるいい。減量も過去の反省を生かして順調です。判定までいかず、KO決着しかないと思っています」
ムラザネとどう戦う?
「王者は手数が多い。だから、その手数に負けないようにしたい」
(日刊スポーツ、2)
[2018-12-5]世界戦発表会見
「本当にうれしい。応援してくださる皆さんへの感謝を力に替えて、世界王者を殴り倒したい」
世界戦のオファーを受けた時の気持ちは?
「最初に世界戦の話を聞いた時、興奮しました。でも、お金、周りの期待、しかも強い王者と海外で…正直、怖さと重圧があった」
(日刊スポーツ、2)
試合の見どころ
IBFフライ級ランキング14位の坂本真宏選手(六島(むとう)ジム)の世界初挑戦が決まりました。
現IBF王者モルティ・ムザラネの初防衛戦に挑みます(初防衛戦といっても、ムラザネは同タイトルを2009年11月~2012年9月までの3年間に渡って4度防衛しています)。
ムザラネは現在36歳。2000年にプロデビューして以来、戦績は36勝(24KO)、2敗(2KO)です。
デビュー以来フライ級で試合を重ね、試合数では13勝(9KO)1敗(0KO)の坂本選手の2.7倍、ラウンド数では217ラウンドのムラザネに対し坂本選手は63ラウンドと実に3.4倍もの経験の差があります。
過去には当時IBF同級王者のノニト・ドネアに挑戦したり、自身の防衛戦でゾラニ・テテやジョン・リエル・カシメロの挑戦を受けるなど、強豪との対戦経験も豊富です。
※ドネアには有効打による負傷判定負け。テテとカシメロにはKO勝ちしている。
いわばずっとこの階級で番を張っている選手ですね。
攻撃面では中間距離のプレッシャーファイターです。
KO率63%のハードパンチャーで、中間距離から体重の乗った伸びやかなワンツーや重い右ストレートが飛んできます。
フットワークは鈍重で機敏ではありませんが、プレッシャーをかけるのがうまい選手です。
前に出ると無類の強さを発揮しますが、直近のムハマド・ワシーン戦では、後半ワシーンのプレッシャーに負けて後退する場面が増えると、ガード一辺倒になって攻撃の手数が減り、ワシーンの連打を浴びて危ない場面を作られました。
下がりながらの攻撃、特に接近戦では怖い武器はなさそうです。
防御面ではまず打たれ強いですね。ドネア戦では強烈なボディーを何度受けても効いたそぶりを見せませんでした。
結果は有効打による負傷判定負けでしたが、ポイントでは競った試合内容でした。
対する坂本真宏選手は現在27歳。ムラザネとは一回り年が離れています。
今回は数千万円かかる世界戦の経費ねん出のため、なんとファイトマネー0円で挑むことになるそうです。
※その後、サントリーなど9社以上のスポンサーがついたため、0円ということはないかもしれません。
アマチュアでは24勝6敗。
2014年12月にプロデビューして以来、13戦(9KO)1敗(0KO)の戦績を残しています。
1敗は、その後WBC世界フライ級チャンピオンとなった木村翔選手との僅差の判定負けのみです。
木村戦では、攻撃面では決め手に欠いたものの、前手で木村選手の強打をうまくさばきながら、木村選手のプレッシャーに負けることなく12ラウンド立ち回りました。
ボクサーファイターですが、特に接近戦で体重を後ろに乗せたり、巧みにステップを踏んで空間を作り、強い右フックや打ち下ろしのストレートを振りぬいてKOを重ねています。
ムラザネは打たれ強くプレッシャーもきついですが、木村選手のプレッシャーに押し負けなかった坂本選手なら、接近戦に持ち込んで勝機を見出せそうな気がします。
ところでムラザネは、京口紘人(きょうぎちひろと)選手が挑むヘッキー・ブトラーと同じく南アフリカ出身のチャンピオンです。
つまり今イベントで南アフリカの二人の王者に日本人が挑むという構図になりますね。
【2018-12-31】ヘッキー・ブドラー vs 京口 紘人 WBA世界ライト・フライ級タイトルマッチ 詳報※試合結果&コメント追記
2018年12月31日(月)、WBA世界ライト・フライ級タイトルマッチ ヘッキー・ブドラー(南アフリカ) vs 京口 紘人(ワタナベ)の試合が行われます。 会場はウィンパレス・コタイ(中国、マカオ) ...
また、同タイトルは意外にもこれまで日本人が獲ったことがなく、メインに登場する井岡一翔選手が2014年に当時王者のアムナット・ルエンロエンに挑み敗れて以来の挑戦になります。
ぜひこれまで日本人の手に届かなかったベルトを勝ち取って持ち帰ってきてほしいですね。
両選手プロフィール
モルティ・ムザラネ 選手のプロフィール
- 名前:Moruti Mthalane
- 出身地:南アフリカ
- 年齢:36歳
- ニックネーム:ベビーフェイス(Babyface)
- プロデビュー:2000年12月10日
- 身長:166cm
- リーチ:169cm
- 戦績:38戦、36勝(24KO)2敗(2KO)
- KO率:63%
- スタンス:オーソドックス
坂本 真宏 選手のプロフィール
- 名前:Masahiro Sakamoto
- 出身地:日本
- 年齢:27歳
- プロデビュー:2014年12月28日
- 身長:164cm
- 戦績:14戦、13勝(9KO)1敗(0KO)
- KO率:64%
- スタンス:オーソドックス
坂本選手は大阪市立大学を卒業しており、現在は同大学の大学院生として機械物理系の研究をしているインテリボクサーです。
もし、今回世界タイトルを獲得すると、初の国公立大学出身世界王者になるんだとか。
チャンピオンになった暁には、廃部危機にあるボクシング部を盛り上げるため、母校の大阪市立大学の体育館で初防衛戦を行う構想もあるそうです。
ぜひ実現してほしいですね。
(※画像はBoxRecから引用)
モルティ・ムザラネ選手の過去試合動画
[2018年7月15日] 直近の試合動画(IBF世界フライ級王座決定戦) vs ムハマド・ワシーン戦
[2011年3月26日] IBF世界フライ級タイトルマッチ vs ジョン・リエル・カシメロ戦
※最初の戴冠で2度目の防衛戦
[2010年9月1日] IBF世界フライ級タイトルマッチ vs ゾラニ・テテ戦
※最初の戴冠で初防衛戦
[2008年11月1日] IBF・IBO世界フライ級タイトルマッチ vs ノニト・ドネア戦
※初の世界挑戦
坂本 真宏選手の過去試合動画
[2018年4月1日] WBOアジア・パシフィック・フライ級タイトルマッチ初防衛戦 vs ピグミー・ゴーキャットジム戦
[2016年11月23日] WBOアジア・パシフィック・フライ級王座決定戦 vs 木村翔戦
2018年末ボクシング世界タイトルマッチまとめ
2018年末ボクシング世界タイトルマッチのまとめです。