2017年5月20日、東京・有明コロシアムで行われた村田諒太 vs ハッサン・ヌダム・ヌジカム(Hassan N'Dam N'Jikam/フランス)のWBA世界ミドル級王座決定戦
4Rに村田選手がヌジカムからダウンを奪うなど、村田選手のペースで試合は進みましたが、結果は不可解な判定(2-1)でヌジカムの勝利となりました。
WBAのヒルベルト・メンドサjr会長はこの結果に納得せず、村田選手と帝拳プロモーション、日本のボクシングファンに謝罪したい意向と、再戦の指示を表明しました。
#Boxing #MurataNDam I feel angry and frustrating for not being able to serve the sport with the right decisions. 1/5
— Gilberto J Mendoza (@GilberticoWBA) 2017年5月20日
「この試合で正しい判定結果が出なかったことに怒りといらだたしさを覚える。」
#Boxing #MurataNDam First of all let me apologize to Ryota Murata, Teiken Promotions and ALL Japanese boxing fans 3/5
— Gilberto J Mendoza (@GilberticoWBA) 2017年5月20日
「まず最初に村田諒太、帝拳プロモーション、ファンに謝りたい。」
#Boxing #MurataNDam There no word how to repair the damage causes by the poor decision. 4/5
— Gilberto J Mendoza (@GilberticoWBA) 2017年5月20日
「この酷い判定で受けたダメージをどう回復すればいいか、言葉がない」
WBA会長がつけた採点表
117-110で村田選手の優位とつけている。
#Boxing #MurataNDam After judging the bout my scorecard is 117-110 for Murata. 2/5 pic.twitter.com/TsnalDaLnM
— Gilberto J Mendoza (@GilberticoWBA) 2017年5月20日
「私の採点では117-110で村田が勝っていた。」
3名のジャッジの採点表
この試合の3名のジャッジの採点表は以下のようなものでした。
#NDAMvsMURATA scorecards controversial? I want your opinion. @AndyP792 said it was pic.twitter.com/IjQrL98Nsj
— Gilberto J Mendoza (@GilberticoWBA) 2017年5月20日
Raul Caiz Sr[110-117]、Gustavo Padilla[116-111]、Hubert Earle[115-112]
なんと2名のジャッジ(Gustavo Padilla、Hubert Earle)が、8ラウンド以降全てヌジカム優位とつけています。
手数は確かにヌジカムが多かったものの、距離をとるジャブを村田選手のガードの上にペチペチと当てていただけで、クリーンヒットは明らかに村田選手の方が多かった。
元世界3階級王者の長谷川穂積氏も、デイリースポーツのコラムでWBAの採点ルールに疑問を投げかけています。
勝負に勝ち、試合にも勝ったと思う。ただ、WBAの“特別採点ルール”に負けた。それが村田君の試合の印象だ。僕はテレビ観戦だったが、前に出る選手より、下がりながらでも手を出している方にポイントがついていた。
これは、先月ベルトを獲った後輩の久保隼(WBA世界スーパーバンタム級王者)の世界戦も同じだった。11回TKO勝ちした久保だが、10回までの採点が1-2で負けていたのを後で見て驚いた。 極端に言えば、距離をとりながらシャドーをしていても勝つことがあるということだ。これは他3団体とは違う。僕自身も選手だったらどう戦えばいいかわからない。これがWBAだと考えるしかない。
https://www.daily.co.jp/ring/2017/05/21/0010208266.shtml
両者の試合後のコメント
村田諒太選手のコメント
(判定前の心境は)「胸騒ぎがした。ロンドン五輪の決勝は勝ったなと思っていたんですけど、今日は手が上がる前に変な予感はしていました」
「結果は結果なんで。僕自身がどう受け止めたかではない。第三者の判断が全てですから」
「もう1、2回ダウン取れば勝てる試合だった。それが原因」
(今後について)「気持ちの整理は必要です。集大成として見せたいところが今日だった。負けたからもう1回頑張るんです、とは言えない。簡単な日々を歩いてきたつもりはないので」
アッサン・エンダム・ヌジカム選手のコメント
「私の方がポイントを取っているとは思ったが、アウェーだし、確信はなかった」
「大きなパンチをもらったのは(4ラウンドの)ダウンをした時だけ」
(村田については)「すごく右のパンチが力強いが、やはりコンプリートファイター(完璧な選手)ではなかった。でも、まだとても若く未来がある選手で、将来は必ずチャンピオンになると思う」
(日刊スポーツ)
この日は、田中恒成選手が初防衛、比嘉大吾選手、拳四郎選手が新チャンピオンとなり、いい流れでメインのこの試合も村田選手ペースで進み、
日本のボクシングにいい一日となるはずだったのに、最後の最後でこの結果は心底がっかりです。
「これもボクシング」とはなかなか割り切れない、不可解な判定でした。
ファンとしては是非とも再戦を実現し、今度こそ勝ちをもぎ取ってもらいたいものの、村田選手も「気持ちの整理が必要」と言っている通り、実現するかは分かりません。
それよりも、まずはWBAの採点ルールを明確にしてほしい。
そうしないと再戦したところでまた今回の試合の繰り返しになるかもしれない。
ヌジカムもWBAの採点ルールを逆手にとって、あの作戦を採ったのかもしれず、ダイレクトリマッチを進める前に採点ルールの明確化は必ずしてもらいたいです。