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【海外翻訳】井上尚弥 vs エマニュエル・ロドリゲスの試合予測【ロドリゲスが有利?その根拠とは?】

海外Youtubeチャンネルの「Fouts Boxing Theory」で5月19日(日)に行われる井上尚弥 vs エマニュエル・ロドリゲスの試合予測動画が上がっていたので、その内容を大雑把に紹介します。

以前、紹介したプレサイス・パンチャー氏の分析動画と同様、試合動画を細かく見ながら戦力分析を行い、試合予測をしています。
動画作者のマシュー氏はYoutubeにおけるこの分析手法のパイオニア的存在で数え切れないほどの試合を分析しています。
プレサイス氏もこのマシュー氏を参考にしていたそうです。

なので、プレサイス氏と内容も意見もよく似ています。
つまり井上選手に結構辛口な予測となっていますが、あくまで動画分析による思考ゲームなので、気楽に読んでください。

マシュー氏による井上尚弥 vs エマニュエル・ロドリゲス試合予測

これから井上尚弥エマニュエル・ロドリゲスの過去の試合を見ていく。
このビデオを通して両者の試合予測をしたいと思う。

この試合の勝者が恐らくWBSSバンタム級トーナメントの優勝者となるだろう

ノニト・ドネアにもこの二人に勝つチャンスはある、しかしドネアは少し年を取っている。
いずれにしろ、決勝戦について予測をするためには今後よく分析する必要がある。

今回の試合の話に戻ろう。

この試合は非常に興味深い。

井上尚弥の戦力分析

まずは井上尚弥にについて私の意見を述べるために、このビデオを見てもらいたい(2017/12/30 ヨワン・ボワイヨとの試合)。

この試合が井上のベーシックと言える試合だ。
井上がどのようにステップを踏み、フェイントを仕掛けているかよく分かる。

フェイントを仕掛けながらガードをがっちり固めている。
ボワイエは井上のガードを叩いてどのような反応を示すか試している。

井上の攻撃は単調

ここで注目したいのは、これは非常に重要な点なのだが、井上はジャブを出すと同時にステップインしている。

アクティブガード(腕や体を動かしながらガードする高度な防御法)ではない。

井上もパンチを当てているが、(ステップインする井上に対し)ボワイヨがいとも簡単にタイミングを合わせてジャブを当てているのが分かるだろう。

しかし、ボワイヨはスーパーハイレベルな選手というわけじゃない。

この場面では井上はちゃんとしたディフェンスをしている。
ここでもステップインしてパンチを打ち込んでいる。
井上は何発もパンチを放つが、(パンチのセットアップがないので)これではボワイヨでも距離を取って逃げることができる。

この試合、井上はボワイヨをノックアウトしたが、井上の弱点はこの試合で見て取れる。
井上は常にパンチを打つときにステップインしている。
井上の動きは単調だ。

井上はステップインする以外にパンチのセットアップがない。
だからボワイヨは回り込んで避けることができている。

井上のディフェンスについて

そして、井上の防御についても見てほしい。
この場面でボワイヨは何発もパンチを打ち込むが、井上はそれをまともに両腕で受けている。

井上が相手のパンチ力が驚異でないと判断しているためなのかは分からない。
井上はガードするばかりでパンチを意味もなく受けている。

井上が危険な相手ではないと言いたいわけじゃないが、井上は常にステップインしながらパンチを打ち込んでいる。

この場面もそうだ。この左手のディフェンスを見てくれ。
これは酷い。腕が下がっているし、頭を振ってもいない。
アクティブガードもあまり見られない。

井上は攻撃面でも防御面でも多様性が見られない。



エマニュエル・ロドリゲスの戦力分析

では、次にエマニュエル・ロドリゲスを見ていこう。(2018/10/20 ジェイソン・モロニーとの試合)

彼の試合は見ていて楽しい。
私の主張は皆の意見とぶつかるかも知れない。ならば戦おう。

アクティブガードが効果的

モロニーがステップインしてジャブを放つ。
ロドリゲスは少し下がってカウンタージャブを返し、さらに右フックを打ち込んでいる。
さらには左ボディーフックも当てている。

たった15秒の間の出来事だ。

この場面のロドリゲスのアクティブガードを見てほしい。
ロドリゲスは秒単位で何度も重心を移動させている。

モロニーは前に出てくるが、ロドリゲスはそれに合わせて下がりながら距離を保っている。右のガードもしっかり上がっている。
そしてカウンターを打ち込んでいる。

ここではロドリゲスが素晴らしいディフェンスを見せている。
前に出てくるモロニーのパンチを両腕でカバーして避けながら、モロニーの右フックをかいくぐってモロニーの右側に素早く回り込んでいる。
これは井上のような直進的に動く相手に対してとても効果的なディフェンスだ

ここでもジャブを打ちながらステップインしてくるモロニーに対し、ロドリゲスはジャブを若干受けながらも左フックのカウンターを返している。

さらに試合は進み、ロドリゲスが次第に(モロニーの動きに)適応し始める。
モロニーのショットに対し、ロドリゲスはステップバックし今度は先ほどよりさらに近づきパンチを打ち込んでいる。

ただし、モロニーがパンチのセットアップに特に長けている選手ではない事実は頭にとどめておかなければならないが。

ロドリゲスの動きの多様性

試合を進めよう。
ここではロドリゲスが動きの多様性を見せる。
モロニーのジャブをスリップすると、ボディーショットを当てている。

さらにここではロドリゲスが効果的なアクティブガードを見せる。素晴らしいボクシングだ。
ロドリゲスは重心が前に行くことを恐れず前進している。
スリッピングを繰り返してパンチを見えづらくして打ち込んでいる。

ここでもロドリゲスはパンチを隠しながら打ち込んでいる。
スリップしながらステップを踏み、少し体を傾けた状態でパンチを打ち込んでいる。
少しトリッキーな動きだ。
それをいとも簡単にやっている。

ラウンドが進むにつれ、次第にロドリゲスのパンチが当たり始める。
右フックをボディーに打ち込み、すぐさま左フックを頭に打ち込む。
これがエマニュエル・ロドリゲスのスタイルだ。さらに連打が続く。素晴らしいショットだ。
ロドリゲスは素晴らしいステップを使いこなしている。

井上の攻撃パターンにロドリゲスは対応できる

モロニーの試合を見て分かるのは、エマニュエル・ロドリゲスは既に井上のような相手(ステップインしながら打ち込んでくる相手)と戦っているということだ。
モロニーはここでは素晴らしい動きを見せた。ロドリゲスをうまくコントロールする場面もあった。
モロニーもかなりハイレベルのスキルを持っており、この試合で勝つチャンスがあった。

次のラウンド、ロドリゲスはモロニーが前足を出すタイミングに合わせ始める。
ここでもう一つポイントを上げる。
ロドリゲスは相手のインサイドにスリッピングしながら、常にアクティブガードをして相手に的を絞らせないでいる。カネロ・アルバレスのように。

ここでは、モロニーがタイミングよく踏み込んでロドリゲスのジャブを避けボディーストレートを当てている。
モロニーのヘッドムーブメントのために、ロドリゲスのジャブが当たりにくかった。
井上はモロニーと比べてヘッドムーブメントが少ない。

この場面では、ロドリゲスはタイミングをうまく合わせ1発、2発そして3発目も当てている。
ステップを踏みながらパンチを当てている。
本当に素晴らしい動きだ。

ロドリゲスの弱点

この試合ではロドリゲスにも気になる点があった。
ロドリゲスが相手の正面に立ってパンチを受ける場面が見られた。
これは井上が相手ならかなり危険だ。

これもロドリゲスの素晴らしいショットの一つだ。
右のジャブを放ち、タイミングよく左のボディーショットを打ち込んでいる。
ボディーショットは当たらなかったが、ロドリゲスのアクティブガードを見てほしい。
ロドリゲスはモロニーのジャブをスリップし、右のオーバーハンドを当てている。
常にロドリゲスがアクティブガードをして重心を変えているから、次から次にパンチが打てる。

このシーンは良くない。ロドリゲスはモロニーの正面に立っている。
いいジャブを放ってはいるし、左手で相手をコントロールしてパンチを打ち込んでいるが。

ここでもモロニーのパンチが当たっている。

試合予測は!?

この試合で興味深い点の一つ目は誰もロドリゲスについてよく知らないということだ。
そして、もう一つは井上尚弥についてもみな知っているようでよく知らない。
井上は対戦相手をことごとくスマッシュしてきたが、それはこれまで実力者と戦ってこなかったからだ。

それに戦績のほとんどが日本国内のものだ。
まだまだ実力を証明する必要がある。それなのにパウンド・フォー・パウンドにリストされている。
これは私には納得がいかない。

その理由は井上に多くの弱点が見て取れるからだ。

井上はアクティブガードをしない。
彼はパンチをうまく隠すことができていない。
相手のパンチにうまく反応して防御することもうまくできていない。

井上のキャリアを見る限り、皆が彼をパウンド・フォー・パウンドのファイターに指名している根拠が分からない。

次の試合、エマニュエル・ロドリゲスには勝つチャンスが十分にある。
ロドリゲスがオッズでアンダードッグの立場(不利な立場)にいるのはかなり不可思議に思える。

儲けたければ、ロドリゲスに掛けることをお勧めしたい。

最もありそうなことは、井上がこの試合でもステップインしながらパンチを打ち込んでくることだろう。
もしロドリゲスが井上の正面に立って打ち合えば非常に危険だが、ロドリゲスは井上相手にそんなへまはしないはずだ。

そしてロドリゲスは井上がこれまで戦ったどの相手よりも強いことは間違いない。
ロドリゲスが多くの素晴らしいショットを決め、試合を支配するはずだ。

ただし、これは単なる思考ゲームだ
井上も色々仕掛けてくるだろう。井上もこれまでの対戦相手には手の内を見せる必要がなかったのかもしれない。
井上の技術がロドリゲスを上回ることも考えられる。

しかし、ロドリゲスは本物のファイターだ。真の才能がある。

私はロドリゲスが勝つと予想する。
ロドリゲスがいいショットを見せるだろうが、どれほどのパワーがあるか不明なので倒せるかどうかは分からない。

もし井上尚弥が勝っても驚かない。
スキルはボクシングにおいて一部分でしかない。
ロドリゲスは相手の正面に立つ危うさも持っている。
井上のようなパワーパンチャーを相手にした場合、非常に危険だ。

だが、スキルにおいては完全にエマニュエル・ロドリゲスが上だろう。
私はエマニュエル・ロドリゲスの勝利を予想する


まとめ

マシュー氏はロドリゲスの勝利を予想していました。
日曜の試合結果はどうなるでしょうか?

井上選手のについての分析は、ほぼ以前紹介したプレサイスパンチャー氏の意見と重なっていました。

ボワイヨ戦から1年半が経ち、バンタム級でも2試合を重ねた井上選手がどのような進化を見せてくれるか非常に楽しみです。

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