2018年7月28日(土)、WBO世界スーパー・フェザー級王座決定戦
伊藤 雅雪(伴流) vs クリストファー・ディアス(プエルトリコ)の試合が行われます。
この試合は、先日リナレスを破って3階級制覇を達成したWBA世界ライト級王者ワシル・ロマチェンコ(30=ウクライナ)が返上した王座の決定戦です。
キシミー・シビック・センター(アメリカ、フロリダ州、キシミー)
この試合はWOWOWエキサイトマッチで生中継が決定しました!(7/29(日)午前11:00~)
なお、同イベントでは村田諒太選手のライバル、エスキバ・ファルカオも試合をする予定です(対戦相手はメキシコのベテラン、ジョナサン・タビラ※Jonathan Tavira)。
試合結果
〇伊藤 雅雪(伴流) 判定3-0 クリストファー・ディアス(プエルトリコ)×
※117-110、118-109、116-111
序盤から近い距離で打ち合う両者、ディアスの右フックが当たれば伊藤選手も右ストレートや左ボディーで応戦します。
1R終了時には伊藤選手のジャブでディアスの顔面が早くも紅潮。ジャブの多さで伊藤選手がペースを握ります。
伊藤選手はパワーでも押し負けず、逆に押し返して接近戦でボディーやアッパーでディアスを痛めつけます。ディアスはこの接近戦の攻撃にうまく対処できません。
4R、伊藤選手の連打からの右の打ち下ろしをもろに受けたディアスが初のダウン!すぐに立ち上がるもダメージは明らかで左目の下が腫れ上がります。
5R以降はディアスも必死の反撃を繰り出します。伊藤選手はダウンを奪ってから足が止まり、逆にディアスの危険なパンチを受ける場面も。
7R(ディアスがKO宣言していたラウンド)、逆に伊藤選手が接近戦のアッパーでディアスを痛めつけます。ガードが堅いディアスに対し、伊藤選手の外側からの右フックも何発かヒット。ガードの硬いディアスに対しこの右フックが試合を通して効果的でした。
9-10R、勝負に出たディアスの強打を受けた伊藤選手が少しぐらつく場面も。しかしすぐにクリンチして攻撃を続けさせません。
11-12R、攻勢を緩めない伊藤選手。ディアスを何度もロープ際に追い込みボディーや右の打ち下ろしで追い打ちをかけます。
スタミナが心配されたディアスでしたが一発の威力は衰えず、ディアスの強打が伊藤選手に襲い掛かりますが、いずれも単発で決定的なダメージを与えるに至りません。
最後まで激しく打ち合い、一進一退の攻防が続きましたが、結果は伊藤選手が3-0の判定で勝利しました!
伊藤選手のガード上を叩くような右フックや接近距離でもみ合いながらのボディーやアッパーがジャッジに評価されなければ、きわどい判定になると思われましたが、終始攻勢な姿勢が評価されたのか、敵地にも関わらず意外に大差がついた判定勝利となりました。
伊藤選手が見事敵地で殊勲の勝利をあげ、WBO世界スーパー・フェザー級タイトルを獲得しました!
The @Geico Photo of the Fight: While a crowd four-square against him cheered for his foe, Masayuki Ito upset @realpitufoDiaz to become the jr. lightweight champion of the world. #DiazIto pic.twitter.com/LhB87SkqkK
— Top Rank Boxing (@trboxing) 2018年7月29日
控え室でボブ・アラムから祝福される伊藤選手。またトップランクの興行に出て欲しいと声をかけられてました。 pic.twitter.com/0DhebdyuAv
— daisuke sugiura 杉浦大介 (@daisukesugiura) 2018年7月29日
試合後のコメント
伊藤 雅雪選手のコメント
--試合結果についてどういう気持ちですか?--
まだ信じられません。--アメリカに来てチャンスをつかむと言っていましたが、あなたが宣言していたような試合内容になりました。なぜこのような結果になると分かっていたんですか?--
チームと自分を信じて「必ずやってきたことができる」と気持ちを高めてしっかりと練習してきたからです。
毎ラウンド絶対に世界チャンピオンになると信じて戦いました。--どの時点で自分が勝てると思いましたか?それからノックダウンを取った時はどう思いましたか?--
1Rが終わった時にしっかりと自分の力が通用すると分かって、あとは集中して必ず勝つという気持ちが途切れないようにしていました。--アメリカではフェアな判定をしてもらえると言っていましたが、今どう思いますか?--
自分の中ではポイントは数えてなくて、とにかく倒す、倒す、倒す、ノックアウトするとずっと考えていました。
なので試合が終わった後はやり切った気持ちが強かったです。--12Rディアスと戦って、彼に対してどういう気持ちですか?--
本当にリスペクトできるナイスガイだと試合前からずっと思っていました。
(ディアスとは)いいファイトが絶対できると思っていたので試合が楽しみでしょうがなくて、結果、自分が信じた通りの試合ができたと思います。--(ティモシー・ブラッドリー)伊藤のファイトスタイルがすごく気に入りました。インサイドでショートアッパーカットを繰り出すところとか、最近の選手にはないスタイルです。この次は?--
まだ夢の途中なので、どんどん大きな試合にトライしていきたいです。
クリストファー・ディアス選手のコメント
「これで終わったわけじゃない。
もっと力をつけて、ハングリーになって戻ってくるよ。
私には果たさなきゃならない約束がある。
いつか世界チャンピオンになる。
ここでもう一度約束するよ。」
(WBN:Masayuki Ito wins vacant WBO title at 130, Gabriel Bracero stuns Artemio Reyes in five)
2018年7月28日 両者一発で計量パス
Photos: Christopher Diaz, Masayuki Ito - Ready For Title Fight https://t.co/Kr0RUnfBgY pic.twitter.com/KiZ7XisdKv
— BoxingScene.com (@boxingscene) 2018年7月27日
計量の結果 ※リミット130lbs(58.967kg)
伊藤雅雪選手 | 129.6 lbs(58.79kg) |
クリストファー・ディアス選手 | 129.2 lbs(58.6kg) |
伊藤 雅雪選手のコメント
2018年7月28日 計量後のコメント
「この地で戦う機会を与えてくれてありがとうございます。
そしてトップランクと、オールスター・ボクシング、帝拳プロモーションズにも感謝したい。
英語のトレーニングは十分できませんでしたが、ボクシングは日々タフなトレーニングを積んできました。
土曜の夜に皆さんに素晴らしい試合を見せると約束します。」
(WBN:Christopher Diaz vows to snatch vacant world title this weekend
※「クリストファー・ディアスが週末世界タイトルを奪取すると誓う」)
2018年6月25日放送のWOWOWエキサイトマッチのインタビュー
--やっと世界戦が決まったことについて--
「最初の頃はOPBF東洋太平洋王座を穫って何回か防衛したら世界挑戦できると思っていたんですが、なかなか簡単じゃなくて『とうとう決まったな』と言うのが率直な感想です。果たして自分が世界戦のリングに上がれるのか現実感がなくて不安もあったんですけど、本当にいい時期に決まりました。」
--クリストファー・ディアスについて--
「ディアスは勘がいいなって思います。そういう選手が一番怖いんですけど、ディフェンスも勘がよくパンチをもらわない、それでいて一発が当たったときの臭覚が優れていて、相手が効いたと見るや5発6発とサンドバッグを叩くみたいに殴ってくる。
タイミングと当て感がいいので、世界チャンピオン級の選手だと思っています。
でも、ディアスにも穴があると観てて思うので、勝つのは自分だと信じています。」
--試合展開はどうなる?--
「前半で倒そうとは思っていません。もちろん当たって倒れてくれたら御の字ですけど、こういうレベルではなかなか無いと思うので、しっかり当てて後半弱ってきたところで倒したいというのはあります。
7Rから10Rくらいで下がらせたら、もうこっちの勝ちだと思っています。
最初は少し足を使いますけど、最終的には相手が嫌な顔をして下がっているイメージです。」
--ファンに向けて--
「ボクシングを始めてここまで来ると思ってもなかった僕がアメリカで戦ってトップランクの凄い選手を倒しにいく、その姿勢は見て欲しいなと思いますね。それで倒したら持ち上げてもらえれば。」
(WOWOWエキサイトマッチ)
2018年6月18日の記者会見でのコメント
「僕はここ3~4年、試合前のキャンプはいつもロサンゼルスでやらせていただいてたんですけど、その時からアメリカは目標であり憧れであり、という感じでした。
現実に世界戦が決まった今は、率直に不安もありますけど、自分ならやってしまうんじゃないかという勝手な期待感と、アメリカのフロリダという地でディアスを倒したらどうなるんだろうというワクワク感の方が強いです。
スピードと見切りが自分の持ち味で、そこではディアスに勝てると思っています。
相手の派手なパンチを外してしっかりと当てる、それは出来るだろうと思います。」
(WOWOWエキサイトマッチ)
クリストファー・ディアス選手のコメント
2018年7月28日 計量後のコメント
「こんな日が私のキャリアの中で訪れるとは思ってもみませんでした。
2013年にプロデビューしてから10連勝、20連勝と勝ち続けてもまだ世界タイトルに挑戦できるとは考えていませんでした。それでも毎日激しい情熱をこのスポーツに注ぎ続けてきたことで、この機会が得られたんだと思います。
誰も私の前に立ちふさがることはできません。
とても好調だし、準備万端です。これはただの試合じゃありません。
私は15年間この試合のためにハードワークを続けてきました。
試合でも常に激しく戦ってきました。
伊藤も激しい戦いを仕掛けてくるでしょう。
きっとファンが望む試合を見せられるはずです。」
(WBN:Christopher Diaz vows to snatch vacant world title this weekend
※「クリストファー・ディアスが週末世界タイトルを奪取すると誓う」)
2018年7月24日 WBNのインタビューでのコメント
--今の心境とコンディションは?--
「世界に私が何者なのかを証明する時が来た。
世界タイトルマッチを戦うことは全てのボクサーの夢だ。
この初めてのチャンスに向け準備は万端だ。
なぜなら既に何年も人生の全てをこの時のために捧げてきたからだ。
そしてその時は目の前に近づいてきている。
私は今ハングリーだし集中している。
7月28日、プエルトリコに新しい世界チャンピオンが誕生するだろう。」--伊藤戦に向けて--
「伊藤との試合はタフな戦いになるだろうが、私はとても集中している。
多くのプエルトリコ人が私のコーナーで応援してくれるだろう。
人々のサポートがなければ私は何もかなえられなかった。
いつも私を支えてくれて、ポジティブな影響を与えてくれてありがとう。
7月28日、私のミッションはこの島に世界タイトルを持ち帰ることだ。」
(worldboxingnews.net)
2018年6月11日 地元メディアへのコメント
「この試合は全てのプエルトリカンと、そして私をいつもサポートしてくれた家族を熱狂させるだろう。
ついに世界チャンピオンになる時が来た。
私は必ずや世界タイトルをプエルトリコに持ち帰ると約束するよ。」
(elnuevodia.com)
伊藤雅雪選手の初の世界挑戦が決まりました!
対戦相手は23戦無敗のプエルトリコ人、クリストファー・ディアス。
トップ・ランク社がプロモートする選手です(Christopher Diaz)。
会場のキシミー・シビック・センターは、アメリカでもプエルトリコに近いフロリダ州にあり、3年前にディアスと同郷のオルランド・クルスが試合を行って以来のボクシングイベントになります。
きっと多くのプエルトリコ人が応援に駆け寄るでしょう。
ほとんどクリストファー・ディアスのホームといえます。
ディアスは体格では伊藤選手に劣るものの、パワー・技術・高いリングIQを備えたなかなかの強敵です。
以前、WOWOWでもブライアント・クルス戦が放送されたので、インパクトを受けた人も多いのではないでしょうか?
伊藤選手の苦戦も予想されますが、小さな日本のジムのボクサーが、海外の一流プロモーション傘下のエリートボクサーに敵地で挑む。
夢があるじゃないですか。
伊藤選手の勝利を期待したいです。
両選手プロフィール
伊藤 雅雪 選手のプロフィール
- 名前:Masayuki Ito
- 出身地:日本
- 年齢:27歳
- 階級:スーパー・フェザー級
- プロデビュー:2009年5月26日
- 身長:174cm
- 戦績:25戦、23勝(12KO)1敗(0KO)1引き分け
- KO率:48%
- スタイル:オーソドックス
(※画像はBoxRecから引用)
クリストファー・ディアス 選手のプロフィール
- 名前:Christopher Diaz
- 出身地:プエルトリコ
- 年齢:23歳
- 階級:スーパー・フェザー級
- ニックネーム:スマーフ(Pitufo=Smurf)
※青い肌の小さな体をしたキャラクター。
それで青いパンツを履いていることが多いんですね。 - プロデビュー:2013年9月26日
- 身長:168cm
- リーチ:163cm
- 戦績:23戦、23勝(15KO)0敗(0KO)
- KO率:65%
- スタイル:オーソドックス
水中でパンチトレーニングをするディアス
.@RealPitufoDiaz has put in the work. Now, it’s time to step into the ring.
Pitufo faces @Ramos4D2 Dec. 9th, live on @espn. pic.twitter.com/H3rwMvLZ4c
— Top Rank Boxing (@trboxing) 2017年11月30日