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GGGvsカネロの第2戦は中止の可能性が高まる。NACは聴取前にカネロに申立書を提出

ネバダ州・アスレチック・コミッション(Nevada Athletic Commission、以下NAC)のボブ・ベネット理事は、4月10日から4月18日に先延ばしとなったカネロへの聴取前に、カネロ・アルバレスのドーピング違反に対して正式な申立書をカネロ側へ提出しました。

NACがカネロに提出した申立書の内容

ざっくりまとめると、

  • カネロ・アルバレスは9か月から24か月間の活動停止処分となる。ただし事情によってはその半分程度に処分が軽減される。
    つまり、処分が軽い場合でも、ドーピング検査を行った2月17日を基準として、復帰は早くても8月18日からとなる。
  • アルバレスの禁止薬物のクレンブテロールの摂取が、意図的だったにせよ、そうでなかったにせよ、ドーピング違反であることには変わりがない。
    選手は体内に禁止薬物を摂取してはならない。

というもの。

現在、カネロはネバダ州のみならず、アメリカ国内での試合は出場停止となっています。

アルバレスは4月18日の聴取でこの申立書の内容について反論することができます。

Alvarez Saul Canelo - NAC Complaint

カネロは2月17日と20日の2回に渡り、自主的なドーピングを行い、いずれも禁止薬物クレンブテロールの陽性反応が検出されています。

クレンブテロールとは

  • 「筋肉を残しながら体脂肪を減らしたい」筋肉肥大と脂肪減少を両立する。
  • 豚肉の赤身を増やすことが知られ、ドーピング検査の対象薬でもある。
  • 半減期は34~35時間。
  • 筋肉増強作用が認められている。ただし、脂肪燃焼効果がメインであり筋肉増強はおまけ。
  • アドレナリン受容体であるβ受容体に刺激作用があり。興奮状態になる。
  • 一般的には「気管支を拡げて呼吸を楽にする作用」や、「尿失禁(お腹に力を入れると尿がもれる症状)を改善する」目的の薬として使用されている。
  • 副作用:振戦(ふるえ)、動悸、腹痛、力が入りにくい、筋肉痛、便秘、血圧の上昇
  • 日本国内では「スピロペント」という商品名で販売されている。

本当に自主検査だったのか?

ドーピングが発覚したのが自主検査だったと報じられていましたが、これは調べてみると実際にはランダムテストだったようです。

GGGとカネロの双方がVADA(Voluntary Anti-Doping Association=自発的アンチドーピング協会)のランダムテスト(=抜き打ちテスト)の実施に合意していた。

というのが実際のようです。

かつ、抜き打ちテストの3日後に再度テストしたものは自主的なテストだったようです。

この3日間の間に、利尿剤などを飲んで薬抜きを試みたんでしょうか。

結果は800pg⇒600pgと大きく減ることはなく、試みはうまくいかなかったようですね。

GGGとカネロの第2戦は中止か!?

これにより、5月5日のGGGとカネロの第2戦は中止の可能性が高まりました。

既にチケットの払い戻しも開始しています。

当初カネロ陣営は、カネロはこれまで90回に及ぶ検査で陰性であり、不注意により薬物入りの肉を食べてしまったせいだと主張していました。

数年前なら、あるいはカネロのような注目選手でなければ、(バルガスvsサリド戦のように)しれっと試合は行われていたでしょう。

ところが今回、ここまで騒ぎが大きくなり処分が重くなったのにはいくつかの理由が考えられます。

なぜ、ここまで深刻な問題となったのか?

  • カネロが注目度の高いスター選手であったこと。
  • ゴロフキンもカネロに匹敵する人気ボクサーであったこと。カネロが明らかなAサイドに立っていなかったこと。
  • SNSでカネロへのバッシングが大きくなったこと。
    第1戦でのテーピングの違反や、判定結果の発表前にカネロ陣営が結果を知っていたことなど、疑惑を呼ぶ情報が多く出回った。

  • ゴロフキンがカネロの言い訳に激しく抗議したこと。
  • ゴロフキン陣営がカネロがドーピングしている複数の証拠映像を持っていると表明したこと。
  • そもそも第1戦の引き分け判定に多くの疑問の声があったこと。
    特に118-110の大差でカネロ優位のポイントを付けていた、アデレイド・バード(Adalaide Byrd)への抗議の声が多かった。

これらのことからNACも今回は重い腰を上げたものと思われます。

GGGの対戦相手は誰に?

ゴロフキンは依然として5月5日に試合をしたい意向を示しており、カネロが出場停止となっても対戦相手が変更されて試合が行われる可能性が高いです。

すでに複数の選手がアピールの声を上げています。

試合が中止になれば残念ですが、今回の件でドーピングを行うことへのリスクが高まり、ドーピングが減れば長い目で見れば好機になるかもしれません。

少なくとも、聞き飽きたメキシコ肉の言い訳はもう通用しなくなるでしょう。

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