2019年6月19日、WBO世界スーパー・フライ級王座決定戦
井岡 一翔(Reason大貴) vs アストン・パリクテ(フィリピン)の試合が行われます。
会場は千葉県千葉市の、幕張メッセ。井岡選手が2年ぶりに日本のリングに復帰します!
この試合の模様はTBS系列で6月19日21:00から生中継されます。
試合後のコメント
井岡 一翔選手のコメント
--率直な心境は。
井岡「2階級、3階級制覇や防衛した時より、初めて世界チャンピオンになった時の感情に近い」--リング上で感情を爆発させた。
井岡「常に奮い立つものがあった。
ずっと追われているもの(プレッシャー)もあった。負けられなかった」--試合を振り返って。
井岡「パンチもあって技術もある相手で、最初は我慢比べ。
3、4回で距離をつかんだ。下がらず打ち合えたことで相手の気持ちを折れた」--階級を上げた挑戦。
井岡「スケールアップできた。成長していかないと勝てないと思っていた。
これからも成長していきたい」--引退から復帰後、昨年末の敗戦から再起。
井岡「自分でもよくやった(と思う)。新たな歴史を刻んだ。それが全て」
(サンスポ)
アストン・パリクテ選手のコメント
主審のストップに対し
パリクテ「あんな簡単に試合が終わり、嫌な気持ちだ。パンチよりもレフェリーにダメージを与えられた」
「とにかく早くレフェリーが試合を止めてしまった。
私はもっと闘えた。残り2ラウンドやっていたら、違う結果になった」
(サンスポ)
試合結果
〇井岡 一翔(Reason大貴) 10R TKO アストン・パリクテ(フィリピン)×
いやー興奮しましたねー。
井岡一翔選手が強打のアストン・パリクテを10ラウンドTKOで下し、日本人男子ボクサー初の4階級制覇を達成しました!
試合開始から2ラウンド目までは、パリクテが長いリーチを生かして井岡選手の左ジャブに右の打ち下ろしを合わせ、中間距離を保ちながら戦い、序盤を優位に進めました。
しかし、井岡選手は被弾しながらも果敢に踏み込み、左ボディーを何度か当ててレッシャーをかけました。
すると、3ラウンド以降はこのボディーが効いたのか、あるいは警戒したのか、パリクテの右がピタリと止みます。試合は小康状態に。
4ラウンドに入ると、パリクテはペースを変えようと前に出始めます。
それにより井岡選手のパンチも届きやすい距離になり、コンビネーションが少しずつ当たり始めます。
5ラウンドに見せた、スリリングな至近距離での打ち合いも井岡選手がパンチの精度で勝り、打ち勝ちます。
打ち返すパリクテの強打も迫力がありましたが、井岡選手は固いガードとギリギリのスウェーでかわし、決定打は打たせませんでした。
6ラウンドになると、疲れが出始めたパリクテは再び距離を取りますが、リズムに乗った井岡選手は本来得意の出入りのボクシングを見せ、試合が大きく井岡選手に傾き始めます。
そして7ラウンド、勝負に出たパリクテはラッシュを仕掛けます。
何発かは当たりますが、それでも決定打といえるパンチはなく、逆にパリクテの攻撃の合間に井岡選手のコンビネーションがクリーンヒットし、ラウンド終盤には盛り返しました。
これで完全にペースをつかんだ井岡選手。
8ラウンド以降は、パリクテのパンチは当たらず、井岡選手のパンチのみ当たる一方的な展開に。
下上の左のダブルや、アッパー、右のオーバーハンドのクロスカウンターなど、多彩な攻撃でパリクテを翻弄しました。
最後となった10ラウンド、パリクテの右に合わせたカウンターでぐらつかせると一気に連打で畳みかけ、レフェリーストップを呼び込みました。
戦略的にもボクシングのうまさでも完勝した井岡選手。
今後、他団体王者との統一戦など、ビッグマッチが期待されます!
井岡一翔 選手のコメント
2019.6.13 渋谷道玄坂の109前で行われた一般公開調印式後のコメント
「対策、準備はしてきた。簡単ではなく、難しい試合になると覚悟をもってやってきた。
1度失敗して悔しい思いをした。2年2カ月ぶりの日本で必ず4階級制覇したい」
(日刊スポーツ)
アストン・パリクテ 選手のコメント
2019.6.13 渋谷道玄坂で行われた調印式後のコメント
「井岡には元世界王者としての実力があるが、100%準備してきた。
練習してきたプロセスを信じ、エンターテインメントあふれる試合でベルトをつかみにいく」
(日刊スポーツ)
2019.6.11 来日直後のコメント
「さらにパンチ力をつけてきた。倒す自信はあるが、最後までいくかもしれない。勝利は100%間違いない」
(日刊スポーツ)
試合の見どころ
井岡一翔選手が、2度目の日本人初4階級制覇に挑みます。
そして今回、井岡選手の国内ライセンスの再取得が認められたため、2年ぶりに日本のリングでの試合が実現しました。
井岡一翔が国内復帰「日本ボクシングに貢献するため」 6月に4階級制覇再挑戦へ
昨年末にマカオで行われた、WBOスーパーフライ級王座決定戦が4階級制覇初挑戦でした。
この試合で井岡は同じく4階級制覇を狙うドニー・ニエテスと対戦。
前半から互いにカウンターを狙い合うヒリヒリとした技術戦でしたが、(ジャッジがニエテスの大ぶりのパンチの見栄えの良さを取ったのか)惜しくもスプリット(1-2)の判定で競り負け、初の挑戦は失敗に終わっています。
この試合に勝ち、タイトルを獲得したニエテスに対しWBOはパリクテとの再戦を命じましたが、初戦のドローを不服としていたニエテスが再戦を拒否し王座を返還したために、ランキング1位のパリクテと2位の井岡選手との決定戦が行われることになりました。
DONNIE NIETES VACATES JUNIOR BANTAMWEIGHT TITLE, PURSE BID FOR PALICTE REMATCH CANCELED
対するアストン・パリクテはこれまで28戦25勝(21KO)2敗1分け(ニエテス戦)、KO率75%のハードパンチャーで、ロイ・ジョーンズ・ジュニア率いるRJJプロモーションの看板選手の一人です。
初の世界挑戦となった、昨年9月のドニー・ニエテスとのWBOの王座決定戦では、ディフェンス巧者で独特なリズムを持つニエテスを捕まえきれず、ドロー判定で王座獲得に失敗しており、今回が2度目の世界挑戦となります。
この階級では体格が大きく、身長は173cm、リーチも173cmあります。
特に中間距離でこの長いリーチを存分に生かしたストレートや、右のオーバーハンド、相手のガードを縦に切り裂くようなアッパーなど多彩なパンチで、多くのKOを上げています。
ただし、ディフェンス面ではガードの反応が遅く、また、フットワークも鈍重でパンチを打った後のステップが遅いためにいまひとつ懐の深さを生かせず、名手ニエテスには打ち終わりに多くのカウンターを打ち込まれました。
また、直近のホセ・マルチネス戦ではボディーを打たれた後に露骨に弱気な表情を見せており、ボディーの脆さも弱点かもしれません。井岡選手得意のボディーがさく裂したらどうなるか。
とはいえ、パリクテはこのマルチネスを接近距離のもみ合いの中で放ったショートアッパー一撃でノックダウンしており、パリクテと正面から打ち合うのは大きなリスクといえるでしょう。
この体格差のあるパワーヒッターを相手に、スーパーフライ級3戦目となる井岡選手の体力面での強化にも注目です。
スーパーフライ級初のKO勝利とともに、日本人初の4階級制覇を期待しましょう!
この試合のオッズ
井岡一翔 | アストン・パリクテ |
---|---|
1.61 | 2.25 |
参照:betfair.com
ランキング上位の実力者同士、伯仲したオッズとなっています。
ボクシングのオッズの表記法【代表的な3つを解説】
よくボクシングニュースで海外での試合のオッズが発表されることがありますよね。 「オッズ 11対2でA選手有利」とか、 「B選手につけられたオッズは1.62倍」といったように。 今回はこのオッズの見方を ...
両選手プロフィール
井岡 一翔
- 名前:Kazuto Ioka
- 出身地:日本
- 年齢:30歳
- プロデビュー:2009年4月12日
- 身長:165cm
- リーチ:169cm
- 戦績:25戦、23勝(13KO)2敗(0KO)
- KO率:52%
- スタンス:オーソドックス
1989年生まれの井岡選手は今年30歳。ボクサーとして円熟期にあります。
2011年(22歳)にWBCミニマム級、2012年(23歳)にWBAライトフライ級、2015年(26歳)にはWBAフライ級のタイトルを獲得し、3階級制覇を達成しました。
2018年末のドニー・ニエテス戦に続き、2019年の6月に再び日本人初の4階級制覇に挑みます。
アストン・パリクテ
- 名前:Aston Palicte
- 出身地:フィリピン
- 年齢:28歳
- ニックネーム:力持ち(Mighty)
- プロデビュー:2010年8月23日
- 身長:173cm
- リーチ:173cm
- 戦績:28戦、25勝(21KO)2敗(1KO)1分
- KO率:75%
- スタンス:オーソドックス
(※画像はBoxRecから引用)
井岡一翔 選手の過去試合動画
[2018年12月31日] 直近の試合動画(WBO世界スーパー・フライ級王座決定戦) vs ドニー・ニエテス戦
試合終盤には井岡のボディーにたまらずニエテスが背中を丸めるところも見せたが、僅差で競り負ける結果に。
井岡一翔ハイライト
アストン・パリクテ 選手の過去試合動画
[2019年1月31日] 直近の試合動画(ノンタイトル12回戦) vs ホセ・マルチネス戦
粘り強いマルチネスをショートアッパー一撃で沈めた。
[2019年1月31日] WBO世界スーパー・フライ級王座決定戦 vs ドニー・ニエテス戦
議論を呼んだドロー判定。ニエテスは勝ちを確信する内容だった。
※ハイライト動画